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さるねこ鍼灸とは? ~腹診のすすめ~

脈診ができないとだめだ、弁証が難しい、手技ができない、などと難しく考えすぎて治療のできない鍼灸師や、何をやってよいか迷っている学生さんがたくさんいる。習得に難しい巧妙な脈診や、肌を軽くなでただけですべてわかる、という名人芸を目指すのも結構だと思うが、それよりも誰にでもできて、誰にでも理解できることから始めていくほうが賢明ではなかろうか。


多くの鍼灸師が尊重する脈診は、外感や急病のときには非常に重要であるが、現代の日本鍼灸では急病を診ることは少なく、外感で鍼灸治療(カゼに鍼灸治療は非常によく効くが!)に来る人もあまりいないだろう。むしろカゼという理由で治療の予約を断られることのほうが残念ながら多い。また江戸期のように検査が発達していない時代では、脈診は病の予後や吉凶を判断するのに重要な診察法であったが、現代においても最も重要な診察法とするのはいかがなものであろうか。


慢性期においては腹診のほうが診察が簡単で取得しやすく客観性にも優れている。腹部の圧痛点なども患者さんにも自覚してもらえるので、「症状の変化よりも、あなたの、この圧痛がなくなるまで治療をしましょう」とわかりやすい説明ができる。また臍の形や向きなどの変化も素人の目にも理解しやすい。例えば小児喘息のお臍はほとんどが上を向いているが、これは上腹部が異常緊張して臍を引っ張っているからである。背部を治療することによって腹部も緩み、お臍の形が正常な楕円形になる。体質が改善した証明でもある。


脈診は治療をしながら、臨床の中で学んでいくとよいだろう。診断は腹診が主になるほうが望ましく初心者や学生さんには腹診を基礎とした治療を薦めたい。治療効果がわかりやすいので鍼灸の楽しさもわかってもらえることと思う。


私の考え方と同じような論文もあったので紹介したい。


『経穴の使い方 鍼の刺し方』「腹診・腹治」の提唱」上地栄著


「近年、脈診に自信をもつ人は少なくなっているのではないか、あるいは知っているような顔をしてただ習慣的に脈を診ている人もいるのではないか。ただ五行穴をマジナイ的に使って後はそれぞれの得手に基づいて標治法だけの治療をつづけている、というのが実態のように筆者は思えるのだがどうだろうか」


「だが少なくとも脈は眼にみえないが腹は見えるし、触れれば異状は誰にも判ることなので、脈診に難渋する人は、まず〔腹診・腹治〕を運用して治療の実績を挙げながら、ゆっくりと脈診のことも習得していくようにすれば、じっくりと経絡治療の奥義にせまれるのではないだろうか」


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ただ腹診といっても役に立たないテキストが少ない。まず臨床において大切なことは全体感を診るということ。弁証を詳しくすると高級のように思えるかもしれないが実際の臨床にはあまり役にたたない。臨床に役立つ腹診は、手から手で伝わっていくものである。


私が提唱する講習会は、誰が鍼をしても同じ結果がでる、ということを目標にしている。鍼治療って簡単!ということをわかってもらいたい。このことは私の創作ではなく、歴史的な事実に基づいたことなので、それも講習会を通じてご理解願いたい。