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井穴刺絡まとめ

少商
扁桃炎・咽喉炎で咽の閉塞感・(時に+少沢)大胸筋痛
小児 乳蛾症(離乳期の痩せ)・夜驚症(過食性)+陰白
『鍼灸説約』腹脹、腸満、雀目、小児の乳蛾、喉痺水粒下らずを治す。三稜鍼を以て微に血を出して立ちどころに愈ゆ。
「天星秘訣」に云う、専ら指痛攣急を治す。按ずるに、狐祟に灸すること二七荘。
『鍼灸則』
「眼眶脹痛」
出血 合谷 少商
「統治一切眼疾」
鍼 晴明 合谷 三里 内庭 百会 少商
「咽喉」咽喉腫痛する者、或いは喉痛瘡を生じる者、或いは喉痛閉塞して言語能はず者、倶に是風熱痰火の致すところなり。
出血 少商
「関格」関格は升降不通、飮食下らず。此れ気の横格に因るなり。 鍼 中脘・鳩尾
出血 少商・太敦
「自汗」丹渓曰く、自汗は気虚に属す。また湿と熱に属す。
鍼 列缺・少商・太敦・湧泉
『熙載録』
少商穴は、手の大指の端内側、爪甲を去ること韮葉の許し、白肉の際に在り。細線を将(もちい)て、大指の横紋の處を緊紮し、韮葉鍼を以って、彈きて之を取る。此穴、能く鬱熱を洩す。 主病、纒喉風痺、單雙乳蛾、諸々治して驗を得ざる者、顒額懸癰、驚癇卒倒し、昏して人を識らざる者、並に皆之を主る。
『鍼灸重宝記』  頷腫、喉閉、心下満、汗出て寒く、痃瘧、腹脹、不食、指痛み、掌熱し、小児の乳鵞をす。
『脈診による鍼灸治療』  卒中風、口乾、咳嗽、喉閉急症、喉痺、飲食下らず。扁桃腺炎または、咽頭カタルにこの穴より瀉血して効果有り。
『鍼灸基礎学』  ジフテリー、扁桃腺炎、耳下腺炎、額下腺炎、夏期の感冒、精神病

商陽
小児(少沢):強疳・夜驚症・発熱・引き付け
感冒・眼充血(出血)・頭部充血
『鍼灸説約』
胸中気満、耳鳴、耳聾、歯痛、目盲を治す。
『鍼灸則』
「手痛」湿痰有る者、血虚有り。 鍼 曲池・合谷・神門・通里 灸 阿是・商陽 『鍼灸重宝記』 「胸中気満、喘咳、おこり、熱病汗出でず、耳鳴り、難聴、頷腫、歯痛、肩背缺盆痛」 

中衝 心悸亢進・掌中熱・妊娠嘔気・リウマチで指の曲がらぬもの
『鍼灸説約』指痛掌中熱痛を治す。

関衝 偏頭痛・耳鳴り・眩暈・妊娠嘔吐
『鍼灸説約』喉痺、指痛を治す。

少衝 狭心症・激甚な胸痛
『鍼灸説約』心火炎上、眼赤き、嘔吐を治す。微に其の血を瀉す。

少沢 ショック・人事不省時の気付け・激甚な胸痛・心悸亢進・狭心症発作・精神興奮の鎮静・激しい頭痛(通天の痛み消失)・寒熱往来・体重節痛
『鍼灸説約』目翳を治す。微に血を出す。手足五指頭の穴、並びに中風の半身不随を治す。左は左を取り、右は右を取る。繆刺せず一斉に之を取りて単取せず。
『鍼灸基礎学』 人事不省、狭心症、胸痛、激しい頭痛、尺骨神経麻痺、また瀉血により咽頭痛が即治すること多し。

隠白 月経痛・子宮痙攣・精神逆上(血の道による)+少商。小児引き付け
『鍼灸説約』腹脹、嘔吐、足寒痺不仁、婦人月自時を過ぎ止まずを治す。
『鍼灸則』 「轉筋」通常轉筋は四時皆霍亂に因らずして発する者有り。其の発するに多く睡中、或いは伸欠において作る。
出血 隠白
「眩暈」其れ眩は其の黒を言う。暈は其の轉を言う。痰無く眩を作こと能わず。此れ痰上に在り、火下に在るなり。火炎上して其の痰を動かす。
灸 隠白
「黄疸」黄疸の病は皆湿熱の成すところなり。
出血 隠白
「足麻木」
鍼 三里・環跳・風市
出血隠白
『深谷』 「隠白の変動穴として考えられるが、大★腹横紋の内端に灸すると耳鼻の名灸穴となる」

太敦 痙攣性疾患の救急に、癲癇・ショック・引き付け・睾丸痛・子宮痙攣・子宮脱(+百会) 『鍼灸説約』卒疝、心痛汗出、陰上がって腹に入る、陰偏大、腹臍中痛、尸厥状死するが如きを治す。また小児の失尿に灸すること一荘。
『鍼灸則』
「痿躄」五臓肺熱
出血 太敦、
「腹痛」出血 太敦
「関格」関格は升降不通、飮食下らず。此れ気の横格に因るなり。 鍼 中脘・鳩尾
出血 少商・太敦
「自汗」丹渓曰く、自汗は気虚に属す。
また湿と熱に属す。
鍼 列缺・少商・太敦・湧泉 「癇証」丹渓曰く、癇症は大率湿と熱に属す。
鍼 中脘・鳩尾・公孫
灸 太敦
「邪祟」天民曰く、病心虚驚★して酔う如く痴の如く、邪鬼と為すは 「経水行かんと欲して臍腹絞痛(血滞也)」
鍼 気海・陰交・太敦
「統治一切経水諸病主穴」
三陰交・関元・石門・陰交・中極・気海・中脘・太敦・天枢・三里・神闕・合谷
「産後血暈人を識らず」
鍼 三陰交・関元・中極
灸 三里・太敦 「血崩(血行淋瀝正ならず山崩れの若し)」 鍼 気海・天枢・三陰交・太敦
『熙載録』 大敦穴は、足の大指の端、聚毛の中、爪甲を去ること韮葉の許きに在り。刺灋、前に同じ。 病、頽疝睪大にして疼痛し、發熱する者、雀眼晡後矇する者、疳瘡痛甚しき者、心腹卒痛汗出る者、並に之を主る。
『深谷』 「鼻塞には上星・顖会・通天がよく効くのだが、これらの穴に七壮施灸しても鼻の通じないことがある。そういうときにこの中央の太敦に三壮すると即座に通じる」 「太敦の変動穴として、大★頭中央爪際より少し下がったところの、いわゆる指端穴に半米粒大で五壮施灸すると、のぼせ引き下げに効がある。また陽不起、へのこ立たず、つまり勃起不全にも効がある」

厲兌 消化不良・胃の不快感・船車酔い
『鍼灸説約』尸厥、寒痺不仁を治す。
『深谷』 「これを中央にもってきて取穴する。中厲兌というべきであるが、これは船酔いや車酔いの癖のある人に、この穴に、半米粒大で三壮または七壮するとよく効く」

八兪 アキレス腱痛

竅陰 胆石疝痛・眩暈(+関衝)
『鍼灸説約』
足跗腫痛、耳聾、転筋、膝挙がらずを治す。
『深谷』 「月経不順の人の第四指をみると他指と比べて硬い感じがする。無月経で耳鳴りがする人の四指裏根部横紋に三壮施灸して、一週間で通経して耳鳴りが消失した例を経験している」

至陰 風邪熱(+少沢) 『鍼灸説約』足下の熱する、婦人の横産、手先出るを治す。

「刺絡は反復性鼻出血と夜泣き、疳の虫、憤怒痙攣にとてもよく効く。経穴は第一指(親指)の外側肺経の少商穴。二三ゲ-ジの注射針を使って瞬間的に刺し、わずか数滴(五~一〇滴)の血液を軽く絞り出すだけでよい」 広瀬滋之(広瀬クリニック)『東洋医学』第28巻第1号41頁 

此の他、井穴刺絡は凍傷はともより、指端の血行不良、爪が彎曲して指肉に食い込む様な症状に対しても毎回刺絡を繰り返すと事により軽快してくる。 以上、鍼灸治療の臨床過程に於いて、血絡への刺絡を付加する事により、その効果の著しく倍加したもの、また稀にみる治験ながらも緊急事態に望み、為すすべの無きおりに、井穴に対しての点状刺絡により劇的な即効を得る等、刺絡治療は私にとり最重要な治療手技の一つとなっております。   松林康子(森ノ宮医療学園講師)第一回大阪刺絡講習会

〇初診の患者さんには刺絡をしない。やる場合は井穴のみにする。(特に心臓疾患)  
〇禁忌症を守る。(血友病・重度の貧血症・恐怖心を抱く人)
〇患者さんのペ-スにならない。(一度に多くの治療を求める人は説得する)
〇一過性の悪化症状もある。(鎮痛剤の濫用で痛みの感覚が鈍くなっている人が多い)
〇肩凝りからの鬱血は突然死の恐れがある。症状としては、顔や首が大きくなる・赤ら顔・後頭部に赤いアザや吹出物など。
〇生活様式の養生を説く。(ライフスタイルの改善)

少商:咽喉炎・歯痛・耳下腺炎・気管支喘息・夜驚症
商陽:咽喉炎・歯痛・頚部リンパ腺炎・腸炎・気管支喘息
中衝:動悸・胸痛・ノイロ-ゼ・不眠 関衝:頭痛・顔面痛・耳鳴り・眩暈
少衝:心臓疾患 少沢:人事不省・胸痛
隠白:消化不良・急性胃腸炎・小児のひきつけ
大敦:眼疾患・痙攣性疾患・頻尿・生殖器病・卒疝
厲兌:胃腸疾患・上歯痛・脚気様症状・車酔い
八兪:偏頭痛・頭痛・耳鳴り・眼疾患・腰痛
竅陰:耳鳴り・頭痛・肝胆疾患・眼痛・眩暈
至陰:胎盤停留・産後子宮痛・腰痛・腿痛・痔疾